草履製造から発展してきた産業。
奈良県三郷町集積の和履きメーカーは、江戸時代、農家の副業としてわら草履製造から発展し、1870年頃より鼻緒製造を始め、1920年頃には年間900万足の鼻緒を生産している。

1955年頃、同集積には和履きメーカー237社が集積しており鼻緒を製造していたが、1960年頃には全国的に和履き製造が盛んになり、同集積でもゴム製和履き製品(以下、和履き製品)を製造するようになったようである。

しかし1970年頃までには、全国的に和履き製造からサンダル製造へ替わっていく。このような時代の流れの中で、和履き製品を製造する集積としては、奈良県三郷町集積が全国で唯一であり、現在も和履き製造を継承している。

奈良県中小企業総合指導所〔1984〕によれば、1975年時、奈良県三郷町集積には、和履きメーカー65社、和装サンダルメーカー14社が和履き製品を製造しており、最盛期には和履き製品の全国シェア約90%を占めていたようである。

出所
  • 奈良県経済部商工課〔1955〕「奈良県工業名鑑」
  • 奈良県商工労働部〔1981〕「奈良県地場産業実態調査報告書」
  • 奈良県商工労働部〔1982〕「奈良県ゴム製・プラスチック製履物製造業産地振興指針」
  • 奈良県中小企業総合指導所〔1984〕「軽装履製造業巡回相談報告書」